春日市のいつもの長崎チャンポン屋で待ち合わせした。今回はO氏(以下O)所有の25年物、いわば骨董品とも言うべき軽自動車ジムニー(多分SJ30)で長崎まで参る。しかも自転車二台とキャンプ道具、やや太り目の大人漢を載せて。普段ならそんなオンボロで高速道路を走るなんざぁちょいと尻込みするところだけど、ぼかぁ非常に大船に乗った気分だった。なぜならTはその筋の専門家だ。しかも人間性稀に見る至誠の人で、その磐石の如き信頼の上でそのオンボロの動員を自ら望んだのだから。
さてそのジムニー、到着時はどこぞの2ストバイクのご到着かと思った、がはたして、ボンネットに錆びの浮くジムニーだった。でも、想像よりウンと上等で、その排煙から漏れる懐かしい臭いを嗅がなければとても25年モノとは思えない。ためしにアクセルをあおってみれば、なるほどバイクだ。25年前にぼくが乗り回していたバイクそのものの応答をよこしやがる。こりゃあカワイイだろうなぁ。ただ、やはりこの手のものを所有するには、Oのようなその筋の達人でないと厄介なことに巻き込まれるだけだろう。このSJ30に、分割したモールトンと畳まれたMR4R、並びに2名分のキャンプ道具一式を詰め込むのだから知恵を絞らないといけない。 そして、このO至誠この上ない好人物ではあるが、その道具は時流の軽量・コンパクトとは真逆をいくもので全て大柄なのだ。しかも、この老体に万が一の事あった場合の工具が、ぼくのキャンプ道具一式と同じ目方はあろうかという物々しさ。ここをああはめて、これをこの向きに、と詰め込み詰め込みしてようやく左右上下みっちり詰め込み積載が完了した。そして出発。
このジムニーの助手席、あながち乗り心地が悪いわけでもない。昔ながらの平べったいフロントウィンドウや、無骨な計器類がこれもなんともオートバイ然としていて、質実剛健の体。さすがに低速トルク等不足するのだろう、頻繁にギアチェンジをやっている。と、其の手を見ていると、あらぬ方向までギアが入っていっている。この型のジムニーは4速ギアのはずでシフトノブにもはっきりと4速の文字が刻まれているが、もう一速上がっている感じがする。聞けば、前夜、今日高速道路に乗るということで、5速ギアをつんできたと、いけしゃあしゃあとOが宣ったのだから驚きを禁じえない。というわけで、やはりその道の達人が考えることはぼくとは全く違うし、この至誠の人にいたっては、遊びに行く前夜夜なべをしてミッションを積み替えてしまうのだ。聖人、賢人であり変態でもある。こういうところが好きで堪らない。
そして大宰府ICからETC通勤割引を使って長崎へ向う。ETCはぼくが持ち込んだ機械であり、まともに動くかわからないぜ、と警告しても、O君は全く聞く耳もたないのか、平然と減速もせずにETCレーンに突っ込んで「わーいボロいジムニーでETC、格好いいー」とゲートを壊しやしないとハラハラ顔のぼくを尻目に子供のように喜んでいる。やはり変態だ。そうして、朝飯にと基山のPAで日本一の呼び声高いうどんを美味い美味いと二人立ち食いして長崎へ向う。最高時速80キロのなんともスローな高速路であった。でも、エンジン音に負けじと二人ワイワイ大声で話しているとあっというまの二時間、東そのぎIC一旦降りて芒塚ICまで走りR499から野母崎町町民センターの駐車場へ到着した。
(つづく予定)